「よーし、次は歩夢くんだよ」
「やってらんねー」
不機嫌な歩夢は、ボールを床に叩きつけると、体育館から出ようとした。
それを、近衛が立ち塞がる。
190センチはありそうな、がっしり体型の近衛に見下ろされた歩夢はさらに不機嫌になる。
「勝負から逃げるならお前の負けで良いのだな、高梨 歩夢」
「っち。俺は元から、馬鹿ウサギさえ手玉に取れればそれでいいんだよ。邪魔だ!」
「でも、これで借りじゃなくて私に負けたからの入部だからね」
念入りに釘を打つと、歩夢は嫌そうに『ああ』と頷いた。
これで、利香が危惧していた兄の迷惑になることだけは避けられた。
「……お前は危なっかしいな」



