「太陽アポロンがね、惚れた女の子を菫に変えたって伝説があるの知ってる? その女の子が婚約者がいたんだって」
「レオって意外とそんなロマンチックな話とか花言葉とか知ってるよね」
「だって菫の名前が花だから気になってたんだよ。菫が俺のこと太陽みたいって言うから思い出しちゃった。きっと響也を婚約やと勘違いし太陽の化身である俺が、菫を薔薇の花に変えちゃってたんだよ」
「好きなのは――私の方なのに」
おかしいわっと菫がクスクス笑うと、漸く緊張していた顔がゆるむ。
走れなくなっても、一途に太陽を思っていた彼女の行動は、褒められるべきではないけれど、それでも全てはややこしく交差した気持ちのせいなのかもしれない。
「俺も好きだってば」
菫の顔を覗くと、太陽の様に笑う青年はキスをした。
「俺達、もう恋人だからな」
「――うん。うん」
ポロポロと泣く菫は、ただただ頷くだけだった。



