キャンパスに嘘を塗ることしか今は出来ない美音には、菫の気持ちは痛いほど分かった。
複雑な顔で笑うのは、――事態がもうただの喧嘩ですまされない年月が経過していたからだった。
「行こう。美音」
「う、うん。でも巴ちゃんは」
「私は別にもういい。二人の名誉が晴れたら――それでいいんじゃねーかなって」
「なるほど???」
何となく分かったような分からないような、首を傾げつつ美音も巴と出て行く。
「恋って面倒なんですね」
「軍願寺さんは、初恋さえまだですか?」
「いいえ。昔、一度話した――顔も忘れた御寺のお坊さんに」
意味深な言葉と共にみなもと先生までもが退場すると、りかと歩夢、玲音と菫が残った。
「私たちも外で待ってます」
「そ。じゃあ、ごゆっくり」
残された菫と玲音には、玲音の気持ちを聞くという大事な話が残っている。
温室から出ながら利香は歩夢の腕を掴む。
「歩夢君は、菫先輩の気持ち、分かる?」



