『レオ……』
『変わらないよ。明日からも菫の生活に俺達は何も変えない。傍に居るのは、もう千切れない縁だから』
菫は、握り締めた青い薔薇を鼻に近づける。
絵具で塗った偽物の薔薇の香りは、絵の具によって何も香はしなかった。
『それに――俺は菫を見つけられなかったけど響也は違う。ちゃんと菫を見つけて、此処まで運んできたし』
玲音の言葉に励まされていた菫は、次の玲音の言葉に耳を疑った。
『二人の絆に、妬けちゃうけど。けど俺は響也も菫も好きだから二人のこと、応援するし見守る』
『何をっ』
『俺、二人と居られれば、良いだけだし』
それは、菫の事を恋人として見る気はないとはっきり明言しているようなものだった。
そう言われてしまえば、菫は臆病になり本音を言えなくなる。
自分が恋をしたのは、太陽のように笑う貴方だと。
それに、足の自由を失った今、これ以上何かを失うのに怯えて。
違うと言いたくなっても、もう、聞こうともしてくれな状況になっていた。
「菫部長」
利香が、静かに言う。
屈託なく笑い、裏表の無い明るい性格で、こっちが本当の菫だと、利香は信じている。



