『大丈夫。お前には近衛がいるじゃん』
好きな人の言葉は、時に心を温かくときめかせ、
好きな人の言葉は、時に心を打ち砕くような刃物となり、
たった一言で一喜一憂する。
それを心が凌駕している。
菫もその一言が無ければ、素直で真っ直ぐで菫の様な直向きな花として、利香たちの輪に入っていたのだろう。
利香が必死で玲音の言葉を書き写していくのを、歩夢が見守り、みなもが応援し、賢次郎と竹鶏がフォローし、美音と巴がハラハラとするあの輪の中に自然と一緒に笑い合ってただろう。
過去の思い出に縛られて、今の自分を憎む菫の頑なな心は、
どんな美しいバラの花ことばも届きはしない。
並べられた花ことば。
頭の中に全て入っても、自分には関係ないと。
ただただ自分を奮い立たせるのは、蒼いバラの花ことばだけだった。
「終了一分前」
「利香ちゃん、あとね」
玲音が利香に耳打ちする。



