「へえ。女神の涙から生まれた花なんだって薔薇って」
「軍願寺さんは何をしてるんですか?」
「スマホで花ことばを検索してます!」
「――没収です」
綾小路先生が容赦なく携帯を奪うとみなもが泣きそうな顔で取り返そうとする。
その様子が面白かったのか、美音と竹鶏が笑う。巴は手を叩いて爆笑していた。
――その様子を見て、少しだけ菫のシャーペンを持つ手が震えているのが分かった。
「静かにしてよー。レオ先輩の言葉、お経みたいに早いんだから!」
利香が怪獣の様にわめくと、恋愛部全員が大声で笑い出した。
「向こうは楽しそうですね」
綾小路先生の言葉に、一瞬手を止めてしまっていた菫が、すぐに指を動かしだした。
「でもね、先生。届かない思いは誰にも言わず秘めておきたいの」
「だから自分を偽ったり貶めるの?」
先生の言葉に、菫は唇を噛む。
「集中できません。先生も向こうへどうぞ」



