だから、昨日、利香と巴が話していた話を聞いてしまってもその決心は鈍らないと決めていた。
病室のカーテンが揺れる。
その中で、声を殺して泣いている菫に青いバラを差し出す一人の少年。
その少年の薔薇を胸に抱き菫は今も健気に頑張っている。
「すー―菫ちゃんは、ドジでのろまな私にも親切にしてくれて、私の絵も綺麗だよって褒めてくれて。いつも優しくて笑顔が綺麗で私もいつも一緒に入れて楽しかったよ。車椅子っていうハンディキャップなんて感じられなかった。寧ろ、私の方が彼女に何一つ敵わない感じだったもの」
放課後の温室の一番奥、薔薇の花々の前にあるベンチに座り美音がゆっくり口を開いた。
その場には――玲音と竹鶏、賢次郎がお互い四人とも背を向けて座っている。
誰もお互いの顔を見ようとはしなかった。



