「なあなあ、三年の菫っていう綺麗な先輩がお前の子と好きって言ってたぞ」
「あー。あの車椅子の文化部部長ね」
スマホで名前を見ても顔が思い出されない他校の女の子とメールしながら歩夢が適当に相槌を打つ。
「お前って意外と真面目な奴タイプそうなのに、何その薄い反応」
「お前、知らないからな」
「知らないって何を?」
賢次郎は可愛い顔でお金を数えながら首を傾げる。
が、歩夢も表情を緩めなかった。
「さあ。今日解決すればそれで終わればいいんだけど」
「何それ!」
「可愛い女の子同士が醜く争うのは駄目だろ?」
歩夢は意外とフェミニストらしい。
中学時代、他校の女の子と何股したのか忘れたが、校門で囲まれて吊るしあげられて喧嘩が始まっても女の子たちを庇い続けた。
今も、顔は思い出さないが名前だけ登録しているからと頑張ってLINEの返事を返している。
全部自分の巻いた種とは言え、優しいのは優しいのだ。



