「勝ったら、近衛先輩も自分の気持ちに正直になってね!」
「……ああ」
二人の会話を聞いていた他の生徒たちが窓から顔を出すが二人は気にせず、利香は手を大きく振ると、本当に遅刻だと大慌てで走って行った。
その後ろを、面倒くさげに歩夢がついていく。
「ぷぷぷ。最高。最高すぎるね、利香ちゃんっ」
「そうだな」
昨日、フェンスを慌てて登り、左手首を微かに痛めていたがそれを利香が見逃していないとは思わなかった。
「あのう、授業始めていいかな?」
英語の教師がどうしたものかと廊下から近衛を伺っている。
「すいません。授業の邪魔をしました。どうぞ」
「起立」
玲音の声に、皆慌てて立ち上がる。
利香と近衛のやり取りは、――隣の進学クラスにも聞こえていたのはきっと二人も分かっているだろう。



