三月ウサギは恋をする!?


「チームの為に優勝し甲子園を目指すためならば、信念は時に邪魔になる」


きっぱりと近衛は言う。


「野球は個人戦では無い。自分一人の感情で動くのは、チームではないだろう」

いつの間にか手に持っているパンが、利香持って来た最後のパンになっている。驚異の食欲に利香も驚いてはいるものの、やはり一番驚いているのは――近衛のその部活への考え方だ。



自分を犠牲にしてまでチームを優先する。


それはきっと近衛の生き方なのだろう。



それが今、きっと玲音や菫の溝を深くしているのかもしれない。


「近衛先輩の、心にある芯がしっかり地面に刺さって倒れないからできる考えだよね」

「誉めているのか?」

「うん、私もそうなりたい」



地面に刺さった芯が、根元からぽっかりと折れないように、それを守りたい気持ちが浮かび上がる。

兄にも近衛にも歩夢にも、だ。


「でも個人の気持ちを守れなくてチームの気持ちが纏まるかっていうのはちょっと疑問」