「お兄ちゃんもね、一人で頑張って何も言ってくれないの、欲しい言葉は何も言ってくれないから嫌になっちゃう。近衛先輩もそんな感じよね」
「そうか?」
「そうだよ。レオ先輩だって隣できっといつも心配してるよ。弱音を吐くのと本音を言うのは違うんだよ。――この前、歩夢君に言われて私も気づいたしね」
「本音と弱音か」
「響也はどっちも吐いてはくれねーもんね。俺、泣いちゃう」
「言うと言霊が移り真実になっても困る」
近衛が余りにも真面目な顔でパンを食べながらそんな事を言うので、思わずレオも利香も噴き出した。
だが、真っ直ぐな近衛らしい回答だ。
弱音を吐いたら、強くありたい心が揺れてしまう。
本音でも弱音を吐きたくないのだ。
「そーゆう近衛先輩の姿勢って、私も見習わなきゃね」
兎の様に跳ねながら、利香は笑う。
「菫先輩との勝負、私が勝つよ!」
その言葉に近衛は表情を揺らさなかった。



