「ふふ。意味が分からないわ。私の好きな人は歩夢君よ」
「私が聞きたい答えは、それじゃありません」
きっぱりと利香は言うと、菫を強い眼差しで見つめる。
「菫部長が言いたくないのじゃなくて言えない環境ならば、私が言わせます。絶対に負けません。絶対に、ね」
「強気ね。でも、私が得意なジャンルで勝負できるのよね」
「もちろんです。園芸の勝負でも――陸上の勝負でもどちらでも構いません」
陸上の競技と挑発されたならば、流石の菫も余裕の笑顔を崩した。
「そして、勝負の行方を美音部長と竹鶏部長、そしてレオ先輩に見てもらいますので」
残念ながら今日は、近衛たち野球部は他校との練習試合が午後から入っている。丁度、甲子園を目指すならば必ず当たる大きな壁となる高校だ。
何としても勝たなければ決勝なんて行けたものではない。
「そう。そうなのね。私が勇気を出さないから皆、傷つけてしまっているものね。分かったわ」
菫は笑うと、薔薇を強く握り締めた。
「私は薔薇の問題で貴方と勝負します」



