一瞬、風が止んだような時間が止まったような、菫の笑顔が止んだ。
が、それもすぐまた笑顔を貼り付ける。
「依頼として?」
「私はどちらでもいいです」
利香も即答だった。
「菫先輩が依頼してくれるなら嬉しいですし。勝負するなら負けません」
利香の強気に、菫は目を細める。
そして薔薇の刺のような小さく鋭い嘘を吐く。
「そうね。私の好きな人は……歩夢くんよ」
近衛に言った通り彼女は完璧に笑うと、また枯れた薔薇の花びらを一枚ずつ剥がしていく。
上手に。
「じゃあやっぱり私と勝負して下さい。先輩」
利香はそれを正面から見据える。
「貴方が聞きたいことは何?」
菫の問いに、利香は昨日の巴が話した真実を思い出す。
「何かな?」
「二人のうち、どちらが好きなんですか」



