「お疲れーー! うわー、シャワー浴びてー」
汗で濡れた髪を掻き上げながら、近衛に声をかける玲音。
近衛が立ち止まり見る先は、巴と利香の勝負。
「あ、今から巴と勝負するんだ! すげー。利香ちゃんって怖いモノ知らずだよな」
「アイツが勝つ」
「へ?」
「兎輝が、勝つ」
近衛の言葉に、玲音が利香たちと近衛で視線を泳がすが、それ以上近衛は何も言わないので、フェンスの向こうを一緒に眺める。
ピストルの合図で飛び出したのは――利香だった。
ただでさえ低い身長なのに、身を低くしスタートで大きく前に飛び出たのだ。
巴のファームは美しく、女とは思えないぐらい豪快に猛々しく走って行くのに、利香は自己流で前に倒れ込みそうなほど身を縮めて走っている。
差は縮まらないモノの、僅かの差で利香が勝利するのが見えた。
「だから言ったろ」
「すげー」
「力量が同じぐらいだった場合、志が大きいものと迷いがあるものでは勝負は決まっている」
「お前もすげー」



