竹鶏の甲高い叫び声。
陸上部の部室の壁にぶつかって落ちたのは、野球ボール。
ころころと地面を転がり、利香を抱きしめて尻もちをついている歩夢の足に当たって止まる。
「っぶねー」
「あ、ありがとう! 歩夢君っ びっくりしたっ」
「ったく。お前がのんびり空なんか見てること普段ないから焦った」
女の子に囲まれて騒いでいた歩夢が、利香の為にダッシュしてくれたのだろう。まだ荒い息を整えている。
「ごめんね。交流会がすっごく上手くいってるから気を抜いちゃって」
「竹鶏! すまない。怪我したのか!」
二メートルはありそうなフェンスを軽々と登り、飛び降りると現れたのは近衛だった。
「響也くん。ごめんなさい。私じゃないの。驚いただけで」
「驚かせてすまない。サボっていた一年に喝を入れていたら、二年がコントロールを誤ってしまったらしい。怪我があるならマネージャーに頼むが」
「あぶねーな。怪我はしてねーけど、もうすぐ利香に直撃するところだったぞ」



