「いけー! 利香、いけいけいけー!」
淑やかなミステリアス美少女が大声を出すのに回りが動揺しつつも、利香は気にも止めずに空を飛んだ。
足を上手にふわりとあげて、棒は倒れなかった。
陸上部との勝負を、音楽部と合コンがしたい陸上部が応援している。
棒高跳びの結果は、利香の勝ちだった。
現在、歩夢と賢次郎が長距離ランナーとの勝負で学校の回りを走っている。竹鶏はそちらの応援へ向かっている。
一生懸命するのが嫌いな歩夢がのりのりで参加したのは、テニス部が応援しているという何とも言えない理由からだった。
「すげえじゃん。でも利香は短距離だろ。一番得意なのは」
陸上部部長、巴が爪先をトントンと叩き、両腕を振り回しながら利香の元へやってくる。
その麗しい姿に女の陸上部員から黄色い声が上がった。
「そうなんですよ。長距離は途中で周りの景色とか見ちゃって遅くなるんです。集中力が無いと言いますか」
「それは致命的だな。どうする? 勝負しとく?」
全国大会100m走二位。
華々しい記録保持者の巴は、余裕の笑顔を利香へ向けると周りが歓声を上げた。



