本当は――色々なことにドキドキしながらそれを飲み込んでいた。
口は悪いけれど、きっと小さなことから知っている輝夜の為に協力してくれている歩夢。
その口に出さない優しさが自分ではなく兄であることが寂しいぐらい、その温もりが欲しいと思う。
利香を広い肩に担いで、身の潔白を全校の生徒の前で言ってくれた近衛。
彼の裏表の無い真っ直ぐな性格にも利香は尊敬に近い気持ちを持っている。
――だが、この学園の事に尽す兄を助けたい今、その気持ちの名前に利香は気づけない。見えていない。
その先に芽生える気持ちを飲み込みながら、兎は毎日飛びまわる。
毎日、ドキドキ、恋、を夢見ている。



