「お前が掲げる理想の校則のせいで、俺の趣味が一つ、消えてんだよ」
「何だと」
「朝も放課後も、部活部活、馬鹿じゃねーの。そんなに忙しくしていつ、女と遊べるんだよ」
……?
女の子と遊ぶ?
利香が首を傾げ、近衛が怪訝そうな顔をしている。
だが歩夢は本当に不満げに生徒会長を指差す。
「この学校は、可愛い子多いのに、部活のせいで全然ナンパ成功しねーし。この学校に入ると恋人も出来ねーって有名だからな」
「ぐっ」
「お前だって――」
歩夢は、何かを言いかけてバツが悪そうに唇を噛みしめた。
その表情は、隣に居た利香にしか分からないようなごく僅かな変化、傷付いた様な複雑な表情だった。
「利香」
「うん」
「俺は、お前らの秘密知ってる。ってか、あの馬鹿生徒会長の秘密だがな」
「嘘」
「まじ。今此処で力づくでバラしてもいいけど?」
その意地悪な笑顔を見れば、一目瞭然だ。
お隣さんだった歩夢が、知ってしまう機会は何度もあったかもしれない。



