三人の緊迫した様子を、後ろから見ていた陸上部の部長、緑川 巴(ともえ)が間に割って入った。
「行きなよ、二人とも」
「ご、ごめんね、巴ちゃん」
「ありがとう。また明日」
二人は、緑川だけに挨拶をすると、ファミレスまで一度も振り返ることなく猛ダッシュしている。
それを、菫は笑顔を崩さずに見ていた。
「アンタ、やることが陰湿じゃない?」
ショートカットの、姉ご肌でさっぱりしている緑川はあっさりとそう言った。
どちらが背中か胸か分からない薄っぺらい身体だが、170センチは超えていそうな格好良い女の子だ。
「今日、華菜夜が泣いたのはアンタの為についてた嘘じゃないの?」
「私は誰にも嘘をつけって頼んでいませんけど?」
「……あっそ。でもこっちは目障りだし、あんたの足のことで同情なんざしてあげないから」
落としたままの携帯を、緑川は一瞥するとそのまま素通りしていく。
「誰もが皆、あんたを心配するとは思うなよ。って思いあがるなよ」



