二人の雰囲気が重苦しくなったのは、目の前で菫が二人を見ていたからだ。
校門の前で、二人をいつから見ていたのか。
その顔は笑顔だった。
車椅子を器用に両手で動かしながら少し二人に近づくと二人は後ろへ後ずさった。
「良かった。華菜夜が泣いてるって聞いて心配だったんだ」
竹鶏の泣き声は、道路を渡った向こうの第二グラウンドで練習中だったサッカー部にも聞こえてきたらしい。
それを、温室の中の菫が聞こえないのはおかしい。
「い、行こう。華菜夜ちゃんっ 皆が待ってるよ」
「――うん」
「待って。携帯を地面に落として親に迎えを呼べないの。取ってくれない?」
そそくさと校門へ向かう二人に、菫は笑顔で言うが、二人は振り向きもしなかった。
「ねえ、お願いってば」
「誰からも連絡来ないのに、携帯を肌身離さず持ってんの?」



