三月ウサギは恋をする!?


利香とみなもがわいわいと楽器や机を端に寄せながら準備をしているのを、音楽部員は遠巻きで見ている。
信頼関係どころか、見ず知らずの他人に好きな人を教えるリスクを考えてだが、――。


「さっき、空を切り裂くような、竹鶏部長の泣き声――此処にも聞こえたよね?」

床にばら撒いた想像画を散らばせながら、利香は静かに言う。
その瞳には、悔しさが滲んでいる。

「あんなに我慢する必要も、傷付く必要もない。優しい人だけが傷付くだけの片思いはしちゃいけないと、思ってる。部活が忙しくて恋愛が出来ないなんて、言い訳が出来くなるように、私ももっと生徒会の手伝いとかするから。隠して――爆発しちゃう前に楽しく暴露しちゃおうよ!」



なぜ竹鶏が、玲音と噂されたから慌てて先生を好きだと嘘を吐いたのか。

あれは、竹鶏の評判さえ落としかねない。

そんな不遇を受け止めるぐらいの何かが彼女を動かしたのだ。



利香はその霧に隠れた真実を、見つけ出したくて大きく跳ねた。