勝負に負けても、みなもに何を説明すればいいのか、彼女が理解できるのかも知らない。
知れば、あの時の過去にそのような傷痕があるのを知られたくもなかった。
みなもには、自由に音楽の中美しく生きていて欲しい。
だが、――気づいても欲しい。
その葛藤、矛盾に自分でも平伏してしまっている時だった。
「その勝負、私が引き受けたああああああ!」
蚊帳の外ばかり、から回りばかり、自分の預かり知らない場所で物語は進んで居ることを露とも知らない彼女は、勝負がしたくてうずうずしていた。
「利香っ」
「音楽で争いたくないのなら、私が勝負するわ」
きょろきょろと周りを見回して、壁を指差した。
「ほら、先生、あれしましょうよ。音楽家神経衰弱」
「お、音楽家神経衰弱?」
「そ。音楽家の写真、二枚ずつ用意して、裏にして探して行きましょう! で、一番多く音楽家を集めた人の勝ち!」



