その後、引き取られた男子はその寺で勉学に努めた。
住職も彼を自由にし、進みたい道を応援し彼が望む高校、大学への援助を惜しまなかった。
『貴方は素敵な養父とはなりませんでしたが、私に良い教訓を下さいました。感謝してもしきれません』
彼は洗脳された記憶を払拭するべく、教師になった。
教師になって、自分と同じ境遇の子供に、あの日、助けられた自分のように手を差しのべたかった。
彼女が可哀想だと自分を憐れんだので、彼は進んで音楽の道へ進んだ。
その後、みなもの兄が寺の歴史を知り、守りたい、継ぎたいと名乗り上げてくれたことで、漸く平和が戻った。
とっくに寺を出て、自分の好きなように生きていた彼には知らないことだ。
もう関わることは無いとそう思っていたのだが、高校受験の日、その美少女を彼は見つけ、懐かしく悲しく胸が痛んだ。



