「なんでそんなまだるっこしいことしたの?」
玲音も利香も不思議そうに首を傾げるが、竹鶏は唇を噛みしめた。
「私、――私、きっと騙されてたんだわ。あんな子、もう友達だって思いたくない。でも――あの子が心配で、それでも胸が張り裂けそうに辛いの」
演技を止めた竹鶏の頬から流れ落ちる涙は、息を飲む美しさだった。
懸命に直向きに何かを守ろうとしている。
「滅茶苦茶よ。滅茶苦茶。もう、苦しいわ」
「何が苦しいの?」
利香が尋ねると、竹鶏は力なく笑う。
「嘘つきで憐れな青い薔薇を、誰も見つけてあげられないことよ」
「華菜夜ちゃん!」
体育館側の渡り廊下から、走ってきたのは美術部部長の美音だった。
急いで来たのだろう、右足のスリッパは青色のペンキで染まっている。
「美音っ」
「頑張ったね。――頑張ったね」
美音が華菜夜を抱きしめると、華菜夜は安心したように抱きしめ返しうっとりと眼を閉じた。



