『新入生代表、兎輝 利香』
静まり返った体育館で、新入生代表が何故かステージに現れないというハプニング。
『兎輝 利香!』
「はーい。兎輝さんは多分理事長とーー」
のんびり手を上げた美女がおっとりとそう言いそうになるのを、生徒会長がかなり無理な咳払いでもみ消していた時だった。
ゴホンゴホンと威圧的な咳払いに生徒も先生にも緊張が走る。
ダダダダと渡り廊下の声が体育館にまで木霊しながら、体育館の入り口を潜った。
「すまない! 遅れた!」
「遅れました……」
近衛先輩に担がれた新入生代表を見て、皆が口をあんぐり開けて呆れていた。
近衛先輩が利香を下ろし、司会の先生のマイクを奪った。
『野球部部長、美術部所属の近衛響也です。俺の失敗を兎輝が助けてくれて遅刻させてしまった。大事な入学式を台無しにしてすまない。彼女には責任はないので罪なら俺が受ける』
そう低くはっきり言うと、深々と謝ってくれた。
「あいつ面白れー」



