一方その頃、音楽室では――。
コーラス部や音楽部の二年や三年が見守る中、音楽室の中央に賢次郎と竹鶏が睨みあっていた。
「私有利で三分以内で終わる勝負なら、ロングトーンが良いんじゃないかしら?」
コーラス部有利の勝負は『ロングトーン』。
同じ音を伸ばし続ける練習方法。『あー』と言葉を吐き続け何秒声が出続けるか勝負するという。
腹式呼吸や、ビブラートの練習にもなり、高校の吹奏楽、コーラス部では毎日欠かさず練習している部も多いらしい。
「いいねー。俺、ちょっと有名なバンドのボーカルやってるから、歌系は全く負ける気がしないや」
「では、始めましょうか。先生、ピアノおねがいしますう」
先生へ大袈裟に振り返り、首を傾げて甘い声を出す。
竹鶏は負ける気は全く無いようだった。
二人が思い切り息を吸い込み、そして先生の合図と共に声を発した。
絵的には地味な勝負だったけれど、二人の実力が明らかになる大事な勝負だ。



