三人の言い争いを聞きつけてやって来たのは、――出来たてのパンを並べた御盆を、肩から吊るして配っている賢次郎だった。
「先輩」
「先生がおかしいやろ。部長さんがあんたのこと、真剣に思ってるんに、自分は教師だからって模範解答。誰も今、あんたが先生なのを知らない馬鹿はおらんよ。聞きたがってるのは、隠している本音だ」
「なっ。貴方、先生に対して敬意の無い喋り方は止めなさい」
「可哀想に。こんな可愛い部長さん、醜くしよんのは、――先生やで」
「か。可愛いって!?」
ぼんっと真っ赤になった竹鶏部長は、胸元のポケットに入れていた鏡を取り出して真っ赤になった自分の顔を見る。
そして、つり上がった眉を必死で下げだした。
「醜くですか? 一生懸命喋る竹鶏さんのどこも醜く感じませんが」
「先生……」
「そんな、歯が浮くような台詞言うんなら、ちゃんと本音も言えや」
すると、『分かったわ』とみなもが手を叩いた。
「勝負しましょうよ、音楽部と恋愛派遣部で」



