「先生、でも、――先生は私の歌の練習に放課後いつも付き合って下さっているじゃないですか」
「君が頑張っているなら、顧問の自分が頑張らないわけないですよ」
「だって、先生、私の歌を綺麗だって、空から舞い降りて来た女神のようだって」
「貴方が『舞い降りて来た女神の様ですか?』って聞いてきました。だから否定はしませんよ。確かに貴方の歌声は美しいです」
「じゃあ、なんで? 最近先生は、その軍艦巻き子のことばかり視線で追っている。この前だって、滅多に弾かない難しい曲を先生がいきなり弾きだしたって。この子が居たから」
「軍艦巻き子……」
それって自分の事なのだろうか。
みなもは口の中で転がしてみてもしっくりこなくて首を傾げる。
この話は、もう自分に関係ないと思っても良いかな?
もう、朝部へ一人向かっても良いかな
退屈で耳が痛くなる声に、みなもはそっと視線を落として距離を取る。



