「大丈夫ですよ。体育館の入り口から三番目の下の窓、外れやすくなってるらしいので」
ガッツポーズをしながら利香が言うと、近衛がゴツゴツした指で顔を覆う。
「何が大丈夫か分からない。お前は隠れてコソコソ入る必要はないだろう。俺が責任をとる」
(これは……。絶対この人、頑固だ)
責任感が強いから絶対に譲ってくれそうにない雰囲気。
「えーと、その1年1組の兎輝 利香(うさぎ りか)です」
「うさぎ……? 珍しい名字だが確か二年の生徒会長も」
「あ、あは。あはは。お兄ちゃんです」
「そうか。1年1組の担任と学年主任に話すから一緒に行くか」
「はい」
生徒会長、とりわけあのエリートな兄の妹だからと驚かれたり遠巻きにされたりと態度が変わるか場合が多かったのだが近衛には杞憂に終わる。
案外、兄妹なんてそう騒がれないのかもしれない。
「近衛部長! 忍者の服が足りません」
(忍者?)
「俺が居なければ準備もできないのか!」



