「千昌さんは、お兄ちゃんの騎士(ナイト)なの。呪いでロボットになってしまった憐れなお姫様の傍で、守ってあげようとしてくれてる騎士」
「ん。言ってたよ。千昌ちゃん、壊れそうなある人を守ってあげたいって、だから、――だから、」
姿を偽っていること、その真実を利香に言うべきか美音は一瞬考えてから飲み込んだ。もしかすれば、美音も知っていることなのかもしれないが、自分の口から誰かに言いたくはなかったのだ。
「フィアンセなんかじゃないよ。絶対ない。今から問いただしても良い。私がお兄ちゃんを自由にした暁には、ちゃんと千昌さんを美音部長の元へ還すから」
「還すって、何それ」
あはは、と笑う美音に対して、利香は真面目な顔を崩さなかった。
「千昌さんが、私に園芸部を進めてくれたとき、言ってたんです。綺麗な薔薇が温室に咲いてるって。でも、温室の薔薇は、部員でさえなかなか見に行けない奥にある。きっと、千昌さんは貴方が描いた薔薇を見て、園芸部の華は美しいって知っていたんだと思います」



