『今は、支えてあげないと壊れてしまう人がいるんだ。ごめんな、美音』
その言葉は、美音を支えていた唯一の光が遠ざかって行くのと同じだった。
だが、彼が頑張るならば美音も一人で頑張ろうと決めた。
貴方を思って塗っていた色も、嘘で塗りたくって違う色で隠してしまおうと。
貴方を思う気持ちは、複雑に混ぜて化学反応で交わらなくなった絵具みたい。
「美音先輩っ」
「あっ」
一瞬、ぼーっとした美音は、手元から粘土を落としてしまった。
ぺちゃんという音とともに、――30分の終了のアラームが鳴る。
「い、今のは、集中しているところにノックもせずに現れた歩夢君が悪いですっ」
美音をびくびくしながら庇う二年に、歩夢は振り返る。
「えー俺? でも可愛い子に言われたら、そうだとしか思えない。ごめんな」
歩夢は、大人しそうな純粋な文化系の女子も勿論守備範囲だったらしい。優しく笑って皆の頬を赤く染めた。



