「美音先輩の得意な美術ジャンルでの勝負で構いません!」
「えええ。でも、得意なものなんてないし」
「決めなかったら、私有利の勝負を決めちゃいますよ」
と、なぜか勝負自体は決定らしく美音は慌てふためくが、利香は胸を叩いて自信ありげに言う。
「言いたくないことでも、誰かに言ってしまえばスッキリしてしまう事がある。言える状況じゃないなら、強制的でも吐きだせた方が、気持ちが楽になるかもしれませんよ!」
「そ、……そう?」
美音は迷って視線をさ迷わせる。
コンクールが近いのに、絵が描けなくなったのは本当だった。
気もそぞろで、ぼーっとしていたら近衛の服に油絵具を付けてしまった。あの時は、近衛が自分もうたた寝していたからと、美音を責めなかったが、それも美音の胸を痛めた。
だが、誰にも、秘めたこの思いを言えたことはなかったし、気づかれるわけにもいかなかったのだ。
それを、変えるきっかけになるのだろうか。



