皿洗いを一葵がし始めた。
朔は椅子に座りある方向を無言で見ていた。それは隣の部屋に
ある朔の家族が笑顔で映る写真だった。
しかし、その後ろには
その写真の家族の仏壇が4つ並んでいた。

父、母、姉、弟の仏壇であった。
仏壇に書いてある命日は父は6月18日.
母は11月2日.姉、弟は12月26日となっていて亡くなった年は皆同じ年だった。
朔はそれを見て自分の手首を見る。
手首は何回も何回も傷つけられていた。
「さぁーく。俺はお前居なくなってしもうたら悲しいねんぞ。」
朔の頭に、手を置き
クシャクシャと撫でる。
「一葵、オヤジがな。死ぬ時母さん人間じゃないじゃないかってくらい瞳狂ってた。」

一葵は朔が自分の手首を見ながら話すのを見て隣の部屋とのドアを閉めた。
「そや。今日は一緒に遊園地でも行こうや。仲のええバイト先の梶岩先輩誘って。」
朔は昨日から見せることの
なかった笑顔を見せて
「はっ?マジかよw。男だけかよ。」
それを見て安心したように一葵は朔の前の椅子に座り会話を続けた。
2人は盛り上がり本当に
行くことに決まった。
早速、梶岩に連絡しようとスマホ画面を
つけようとすると

ピーンポーンピーンポーン
朔の家のインターホンが
家の中に鳴り響く。
「はい?どなたですか?」
朔は玄関へ向かう。
(朝早くに誰だ?)
不思議に思いながらもドアを開ける。
一葵はその姿を弟を見るような目で
優しく見守る。