春恋。

「初めまして!お名前は?」

春花はニコッて笑って、そう言った。
その顔は可愛いくて、耳まで赤く染まった。
「橘…青空。」

「かっこいい名前だね!
私は、えっと…うーんと…春花!
よろしくね!」

と言って手を出した。
はてなマークを頭に浮かべてると僕の手を取って
「握手!お友達の証なんだよ!」
って笑いながら言った。

「おい、そこに誰かいるのか?」
見回りの警備員の声でハッとして、ズラーッと並んでる椅子の下に隠れる。

近くで見ても可愛くて、心臓がぎゅっと痛くなってドキドキする。

でももうトイレ行きたいし、病室抜け出してるのバレたらお母さんに怒られるからバイバイしないと…。

「あっ!警備員の人行ったよ!」
そんなこと思ってたら、春花がそう言ってずる賢く笑う。

「ごめん。僕、もう行かなきゃ。」

「えっ〜!
じゃあさ、青空くんも入院してるんだよね?
だったら暇な時遊ぼうよ!」

思ってもみなかった言葉に、首を大きく縦にふる。
「うん!遊びたい!
僕の病室は103号室だよ!」