春恋。

「桜羅は…将来の夢とかってある?」

「将来の……夢?」

将来……か。
将来なんて私にはないから、夢なんてもってない。
叶わない夢なんて望みたくないから…。

「ごめん」

「なんで…橘くんが謝るの?」

「泣きそうな顔してる。」

そんな顔……してたんだ。

「ううん!大丈夫。私はないかな…。
橘くんは……?」

「夢じゃないけど…俺は星空に1つさ、
一生心に残る傷をつけたことがある。
だから、星空は幸せにしたい。ってかする。」

星空くん…私はそんなふうに思えなかった。
元気で笑ってる星空くんでも、そんなこと…。

「そっか…。どんなことがあったのかは分からないけど、橘くんは弟思いなんだね。」

「別に…。
あと、青空。」

「へ…?」

「俺の名前。
星空と区別つかないし青空って呼んで。」

「青空くん…か。かっこいい名前だね。」

「別に…。」

そこからは、気まずかったことも忘れ。
会話を挟みながら西館も案内し終えた。

「桜羅!お疲れ!」

「青空、迷惑かけなかった?」

「ううん!全然!!楽しかったよ。」