「俺のだから少しぶかぶかかもしれないけど、それ着て」 私はそっと受け取ると、頬ずりしたくなる気持ちを押し殺して、「いいんですか?」と首を傾げた。 「もちろん。あ、いやかな?」 いやいやいやいや、そんなわけないですよ。 私は心の声に従って首を横に振る。 「そっか、ならよかった。行ってらっしゃい」 澪君は私の背中を押してバスルームまで案内してくれた。 どこまで優しいんだ、澪君は。 逆にその優しさが私を不安にさせる。 誰にでもそうだったら嫌だなぁ。