テレビの向こうの君に愛を叫ぶ


「澪君♪澪君♪ Sweet A-La-Mood♪」


スキップに近い足取りで雑誌コーナーに向かう。


「見っけ」


お目当の雑誌を手に取ると、私はそのままレジに向かおうとして、足を止めた。

なんとなく目についたある週刊誌。
私は棚に近寄り、その雑誌を手に取る。
『東雲澪』の文字。
その隣には、『ドラマ共演者と熱愛』。

私は慌ててページを捲った。
ペラペラと軽い音が鳴る。


『1月4日、ドラマのクランクアップの宴会の帰り道、仲良く腕を組む姿が見られた。』


私は頭の整理がつかずに、ただ呆然としていた。
これでどうだと言わんばかりに追い討ちをかけるようにして、文章の隣に実際の写真が添えられていたのも見てしまい、さらに胸が苦しくなる。


嘘だ。
嘘だよ、何かの間違いだ。


私は小指で淡く光るリングを見つめた。
澪君がそんなことするわけないじゃん。
いつも私のこと心配してくれる澪君が。
きっと間違いだよ、間違い…

でも、写真の中の人物はマスクをしているとはいえ、やっぱり澪君にしか見えなくて、それと同時に「火のないところに煙は立たない」という言葉も思い出して、私はどうしようもない不安に駆られた。
じわじわと込み上げてくる涙を、下唇を噛んで堪えた。