テレビの向こうの君に愛を叫ぶ


「大変や!!」


春翔君は肩で息をしながら戻ってきた。


「どうしたの?」


「俺らのこと、結構バレとる」


どうやら校内で騒ぎになり始めたらしかった。
SNSが普及したこのご時世、噂はあっという間に広がってしまう。


「そろそろ帰らへんと、事務所にバレたら怒られそうや」


春翔君は申し訳なさそうに手を合わせた。
澪君もカバンを肩にかけ直す。


「うん!はやく帰ったほうがいいよ!……んと、そこの廊下を真っ直ぐ行って、裏門から出たほうがいいかも。気をつけてね」


私がポケットに入っていた校内のマップを見せながら2人に説明をすると、2人は「ありがとう」とそのマップを受け取った。


「またね」
「またな、紘那ちゃん」


2人はそれぞれハットとキャップを被ると、足早に階段の踊り場から去って行った。