テレビの向こうの君に愛を叫ぶ


「無理してないよっ」


澪君は薄い唇の端を上げる。


「してるじゃん。私が早く会いたいって言ったから来てくれたんでしょ?」


2人並んで階段に座る。
私は澪君の靴をぼんやりと眺めた。


「まぁ、それもある」


澪君は足をぐーっと真っ直ぐに伸ばした。
細くて長い、綺麗な足。


「でも、俺が会いたくてしかたなかったから来たんだよ。そうじゃなきゃ、ここまで来ませーん!!」


澪君はころころと笑いながら私を覗き込んだ。


「気にしなくていいから。俺、ちゃんと自分のことも、紘那ちゃんのことも考えてるからね」


そう言って彼は、私の髪にそっとキスを落とし、立ち上がった。
真っ赤になってしまった私は両手で顔を隠す。
ちょうど、パタパタと廊下を走る音が聞こえた。