テレビの向こうの君に愛を叫ぶ


「ちょっと、なんでそんなに息切らしてるの?」


焼きそばをパックに詰める仕事をしていた紗乃が、逃げて来た私に声をかけた。


「な、なんか、うずうずしちゃって…走りたいなぁーっと」


私はにこにこ笑って誤魔化しながら、紗乃の隣に並んだ。

紗乃はうさぎの耳がついたフードの奥で、「変なの」と言いつつも、幸せそうな笑みを浮かべながら作業をしている。

きっと今日も、彼氏と一緒に文化祭を見て回るんだろうなぁ。


そしたら私は1人か。


もっと根回ししとけばよかった。


後悔してももう遅い。

いいもんね。私は今日、売上金学年1位を目指して働くもん。