「ちょっと、なんでそんなに息切らしてるの?」
焼きそばをパックに詰める仕事をしていた紗乃が、逃げて来た私に声をかけた。
「な、なんか、うずうずしちゃって…走りたいなぁーっと」
私はにこにこ笑って誤魔化しながら、紗乃の隣に並んだ。
紗乃はうさぎの耳がついたフードの奥で、「変なの」と言いつつも、幸せそうな笑みを浮かべながら作業をしている。
きっと今日も、彼氏と一緒に文化祭を見て回るんだろうなぁ。
そしたら私は1人か。
もっと根回ししとけばよかった。
後悔してももう遅い。
いいもんね。私は今日、売上金学年1位を目指して働くもん。

