テレビの向こうの君に愛を叫ぶ


「来てくれたの?」


「うん!今日はオフなんだ!」


やっぱりモデルはオーラが違う。

キラキラとしたレースのようなオーラを纏った彼女は、本当に可愛くて、綺麗だった。


「そういえば最近、七ちゃんに会った?」


優恵ちゃんはなーちゃんに向き直り、首を傾げた。


「あ、優恵に言ってなかったっけ?
七瀬はパリのファッションデザイナーに声掛けられて、今留学してるんだよ!」


「えぇ!すごい!!!」


2人が私の知らない人の話で盛り上がり始める。
私は少しいづらくなって辺りを見回した。


な!?


人混みの中にちらりと見えたのは、私服姿のいくまるだった。


やだ、会いたくない。


「なーちゃん!優恵ちゃん!
私そろそろ準備に戻る!!楽しんでね!!!」


少し引きつった笑顔で手を振りながら、私は脱兎のごとく走り去った。


なーちゃんも優恵ちゃんも不思議そうな顔をしながら、「頑張ってね」と私に手を振ってくれた。