テレビの向こうの君に愛を叫ぶ


そんなの、分かってるよ。
でも、でもね、私は澪君が大好きなんだ。

もし仮に、紗乃が言った通りになってしまったとしたら、私は壊れてしまうかもしれない。

少なくとも、再び澪君のファンには戻れないだろう。

それでも私は、あの日の澪君の言葉と気持ちを信じたい。

だめかもって思ったら、その時は、自分が壊れる前にそっと離れればいい。


「だったら、私は応援できない。
私は紘那に笑っててほしいから」


紗乃はなんでもはっきりと言う。

そこがあの子の長所であり、短所でもある。
本人もそう言っていた。


「うん」


私が頷くと、紗乃は、「さぁ、サボってたら委員長に怒られるよ!戻ろう!」と無駄に元気よく私の手を引いた。

歩き出すと、さっきまで忘れていた寒さが身に染みた。

紗乃の手は温かかった。