好きだ。
ずっと好きだった。
テレビの向こうの君が、
誌面の中の君が、
胸が苦しいほどに愛おしくて、
泣きたくなるくらいに。
何か新しい仕事が決まったり、雑誌の表紙になった時は、歩くとスキップがちになる。
澪君のラジオの日は笑顔が止まらなくなる。
コンサートで会える日は、新聞配達の音が聞こえるまで眠れない。
澪君がテレビで笑う姿、とぼける姿、いじられる姿…全部全部が私の笑顔に変わっていく。
これから一つずつ、慌てずにゆっくり伝えていきたいな。
「あ。」
澪君がふわりと私から離れると、ポケットから携帯を取り出した。
「ねぇ、アルバム機能ってどうやるの?」
私は難しそうな顔をする澪君にクスクスと笑みをこぼした。
覚えててくれたんだ。
…可愛い。
私は澪君と一緒に一つの画面を覗き込んで、アルバム機能の使い方を説明した。
「あのさ。俺、次のドラマ恋愛ものじゃん?」
練習で、この前の花屋敷での写真をアルバムにまとめながら澪君が呟いた。
「うん」
私は頷く。
「紘那が嫌な思いするシーンもあるかも…ごめんね」
寂しそうに笑う澪君。
私は首をぶんぶんと横に振った。
「仕事だもん!仕方ないよ。私はどんどん活躍してく澪君を邪魔したくない。だから澪君らしく頑張って!」
やきもちを妬かない自信はこれっぽっちもなかったけれど、私は澪君の彼女なんだから、これくらい心を大きく持って応援してあげなくちゃね。
「ありがと。頑張る」
澪君はそう言って微笑んだ。

