その瞬間、限界の糸が切れて涙腺が崩壊した。
夢にまで見たことが現実になって、私の世界を彩っていく。
そう思うと嬉しくて、幸せで、涙が止まらなかった。
これは確かに、嬉し涙だった。
「泣かないでぇ」
笑顔で涙を流す私に、また一歩近づいた彼は、困ったような、でも嬉しそうな表情を浮かべて、私の髪を耳にかける。
「泣き顔も可愛いとか、ずるいよ」
澪君はそう言って、ぎゅっと私を抱きしめた。
私も澪君の華奢な背中にそっと手を回す。
「でも、幼馴染の友達は私の泣き顔がブサイクだって言うんだよ」
あ。
もしかして。
私は正直、紗乃に「泣き顔がブサイク」だと言われるのを気にしていた。
でもそれは、紗乃なりの不器用な優しさだったんじゃないだろうか。
私を笑わせるために、なるべく泣き顔にしないように、そう言ってくれていた。
そうなんじゃないか。
じわり
大切な幼馴染の思いに、再び目元が熱くなる。
ぴったりと体をくっつけた澪君は、私の背中を優しくさすってくれていた。
くしゃりと頭を撫でた手が、そのまま私の顔を澪君の肩にうずめさせる。
肩から伝わる澪君の熱が心地よくて、優しかった。

