テレビの向こうの君に愛を叫ぶ



その瞬間、限界の糸が切れて涙腺が崩壊した。
夢にまで見たことが現実になって、私の世界を彩っていく。
そう思うと嬉しくて、幸せで、涙が止まらなかった。
これは確かに、嬉し涙だった。


「泣かないでぇ」


笑顔で涙を流す私に、また一歩近づいた彼は、困ったような、でも嬉しそうな表情を浮かべて、私の髪を耳にかける。


「泣き顔も可愛いとか、ずるいよ」


澪君はそう言って、ぎゅっと私を抱きしめた。
私も澪君の華奢な背中にそっと手を回す。


「でも、幼馴染の友達は私の泣き顔がブサイクだって言うんだよ」


あ。


もしかして。



私は正直、紗乃に「泣き顔がブサイク」だと言われるのを気にしていた。

でもそれは、紗乃なりの不器用な優しさだったんじゃないだろうか。

私を笑わせるために、なるべく泣き顔にしないように、そう言ってくれていた。
そうなんじゃないか。


じわり


大切な幼馴染の思いに、再び目元が熱くなる。

ぴったりと体をくっつけた澪君は、私の背中を優しくさすってくれていた。
くしゃりと頭を撫でた手が、そのまま私の顔を澪君の肩にうずめさせる。
肩から伝わる澪君の熱が心地よくて、優しかった。