テレビの向こうの君に愛を叫ぶ


私が話し終わると、蒼君と澪君は驚いた顔で目をパチクリさせていた。


「まさか、こんな巡り合わせがあったなんてね…」


そして私は思い続けていた澪君に駅で拾われた。

これは運命だと思わざるをえなかった。


「澪ちゃんは気づいてたん?」


「いや、俺、全然覚えてなかった」


澪君は柔らかい笑みを浮かべながら、なんだか嬉しそうにしていた。


「それにしても顔が無理って、めちゃくちゃ可愛子ちゃんやのに、失礼なやつやな」


春翔君がちょっぴり怒った顔で頬を膨らませる。
膨らんだ頬を悠君が両手のひらで萎ませながら、「今頃悔しがってるんじゃない?」とこちらを見て首を傾げる。


「そうだといいですけど…ね」


私は控えめに笑った。

あれ以来、私の苦い思い出の相手とは一言も喋っていない。
泣き虫だった私は、落ち込んで涙をこぼすばかりだった。


『あーあ、また泣いてるよ〜』


いつも困った顔で近づいてきては私の側でずっと慰めてくれたのは、紗乃だった。


『だってぇぇ、』


ずびずびと鼻を啜りながら泣く私に、


『紘那は泣き顔がブサイクなんだから!
笑いな!ほら!!』


と、いつも言っては、両手で頬をむにっと持ち上げてくれていた。


『もー、紘那の好きなShooting?のラジオのコーナーにでも送って笑い話にしちゃいなよ!
すっきりするから!』


奇しくもラジオのコーナーに応募することを勧めたのは、よくよく考えると紗乃だった。
紗乃のおかげで私は澪君を…。