部屋の隅にまとめられた荷物。 風もだいぶ冷たくなってきて、そろそろ窓も開けっぱなしにできなくなってきた。 ライブまであと1週間。 新しいアルバムの曲も何回も聴いたし、バイトでもがっつりグッズ代稼いだし、準備は万端だ。 ブーッブーッ 携帯の着信音に、私は首をかしげる。 夜の9時。 誰だろう? 「はい。夏村紘那です」 お風呂上がりだった私は、タオルで頭を拭きながら、片手で携帯を耳に当てる。