『エンチル』の一次試験会場に恩田は居た。

今さっき試験の説明を受けて隣の部屋に移動したばかりだ。
頭にヘルメットみたいなのを付けられている。

「準備は完了した。今から意識を飛ばすからリラックスしろ」

唐木が言う。

恩田は言われた通りにリラックスした。
次第に闇が恩田を包んで行った…。


目が覚めるとそこはどこかの基地らしき所みたいだった。
ここが試験会場か…。

周りを見渡すと一人の男と一人の女が居た。

「どうやら、僕たちがグループみたいですね」

一人の男が言った。

「軽く自己紹介しようか。俺は恩田。君達は?」

「僕は羽根田です」

「あたしは前木だよ。宜しくね」

「羽根田君に前木さんか…。まず何をすれば良いんだろ?」

部屋の中にはドアが一つしか無い。

「指令内容とか知らないしねぇ」

pppp。

何処からか音がした。

『ただ今より試験を開始する。君達、恩田、羽根田、前木グループの試験はそこから誰にも捕まらずに逃げ出す事だ。そこは薬品基地という設定で、捕まり次第試験は失敗。なお、攻撃は可とする。出口は自分達で探すように。その基地には三つの出口が存在する。では、試験時間は一時間だ。健闘を祈る』