「ちわぁ〜来たよ〜!」

九時を少し過ぎた辺りに前木と羽根田が部屋に来た。
二人とも両手にスーパーの袋を提げている。

「お、以外に綺麗なんですね?」

掃除したからな。

「まぁな。さ、早速始めようか!」

袋から色々な物が出て来る。
主にお菓子だが…。

…かなり太りそうだな…。

「じゃぁ、初仕事成功祝いに乾杯!」

小さくジュースの缶が鳴り響く。

早速一本飲んで二本目に手を延ばした前木に聞いた。

「それより何で怪我したんだ?」

「ああ、それね。あたしは近くの化学工場に向かったんだ。そこで一暴れして『さぁ、逃げるぞ!』って時に変な奴に見つかったんだ。
そいつは、あたしを見つけて撃って来たんだけど、わざと急所を外したみたいなんだ」

「わざと?」

「あの距離なら、頭を撃ち抜くなり、心臓を撃ち抜くなり出来た筈なのに、敢えて足を撃ったみたいなんだ」

「それは、逃がさない為じゃないですか?」

「うん。それがね、そいつの仲間が集まった時にそいつは『頭を撃ち抜いたら崖から落ちた』って言ったんだ」

「前木を助けたのか?」

「足は撃たれたけどね〜。ま、そのお陰で逃げられたって訳さ」

「変な人ですねぇ…前木にでも惚れたんじゃないですか?」

「な、な、何を!?」

柄にもなく前木が照れる。

「ははぁん。なるぼどね〜」

「うう…恩田まで…」

それから自分の故郷の話をしたり、馬鹿話をしたりで時間は過ぎていき、お開きになった。