階段を降りると人の気配を探る。

…誰も居ないみたいだ。

恩田は歩き出す。
明かりは壁に掛かっているランプしか無い。

さて、何処だろう。

牢屋がずらりと並んでいる。
仕方なく一つずつ中を見る事にした。

居ない。

居ない。

居ない。

いや?居た?

恩田は数歩戻ると中を覗く。
誰かが眠っている。

「お〜い」

起き上がるとこちらを見る。
ポニーテールの髪。
間違いは無いようだ。

「埼京で間違い無いな?」

「貴方は誰?」

恩田は銃を仕舞う。

「俺は三番隊の恩田だ。君を救出に来た」

「そう…。助けが来たのね」

「今開けるから待ってろ」

恩田は腰のポーチからピッキングツールを取り出す。

「…良し、開いたぞ」

恩田がドアを開けると埼京が出て来た。

「見張りは?」

「今仲間が陽動作戦をしてるから皆そっちに行ったみたいだ。今のうちに逃げるぞ。歩けるか?」

「勿論」

「よし、行くぞ」

二人は来た道を戻り始めた。