「それでも、まだちょっと汚れているんじゃないかと思う。私、汚いんじゃないかと思う」
「…全然汚れてなんていないけど」
「そうだよね…汚れてないよね…。でも不安で不安でたまらなくて」
苦しそうに言葉を吐く新伊。
オレはとっさに「強迫性障害」という言葉を思い出した。
「オレは良いわけ?学校の制服、着たままだけど」
「とにかく自分がイヤなの。山崎くんが学校で着ていた制服着ててもそんなに汚いとか全く感じないんだけど、自分はイヤでイヤで。自分でも分かってるの。変だって。手洗うのやめよう、カバン拭くのやめようって。そう思えば思うほど不安になってまた手洗っちゃう…ってゴメンね、またこんな話しちゃった。さ、色塗ろっか。ポスカ、ここにあるから」
新伊はまた少し笑い、勉強机の引き出しからポスターカラーを取り出してテーブルの上に置いた。
新伊自身、その行為をおかしいと思っているけれど止められない。
オレにはそういう経験は無いから、苦しそうな新伊を分かってやることは出来なかった。
友達でもないから励ますこともできないし、彼氏でもないから慰めることも出来ない。
オレは、新伊に「お前は強迫性障害だ」と伝えて、一体何をするつもりだったんだろう。
伝えたからと言って明日から今井達の嫌がらせが止まるでもないし、かといって新伊が手を洗うのをやめるわけでもない。
オレには何も出来ないくせに、オレは何をしようとしたんだろう。
とりあえず、何も出来ないオレは、目の前のポスターの色を塗り始めた。
「…全然汚れてなんていないけど」
「そうだよね…汚れてないよね…。でも不安で不安でたまらなくて」
苦しそうに言葉を吐く新伊。
オレはとっさに「強迫性障害」という言葉を思い出した。
「オレは良いわけ?学校の制服、着たままだけど」
「とにかく自分がイヤなの。山崎くんが学校で着ていた制服着ててもそんなに汚いとか全く感じないんだけど、自分はイヤでイヤで。自分でも分かってるの。変だって。手洗うのやめよう、カバン拭くのやめようって。そう思えば思うほど不安になってまた手洗っちゃう…ってゴメンね、またこんな話しちゃった。さ、色塗ろっか。ポスカ、ここにあるから」
新伊はまた少し笑い、勉強机の引き出しからポスターカラーを取り出してテーブルの上に置いた。
新伊自身、その行為をおかしいと思っているけれど止められない。
オレにはそういう経験は無いから、苦しそうな新伊を分かってやることは出来なかった。
友達でもないから励ますこともできないし、彼氏でもないから慰めることも出来ない。
オレは、新伊に「お前は強迫性障害だ」と伝えて、一体何をするつもりだったんだろう。
伝えたからと言って明日から今井達の嫌がらせが止まるでもないし、かといって新伊が手を洗うのをやめるわけでもない。
オレには何も出来ないくせに、オレは何をしようとしたんだろう。
とりあえず、何も出来ないオレは、目の前のポスターの色を塗り始めた。
